壊れてしまった弁護士たち

若手弁護士に実際に起きた出来事を、個人を特定できないように相応のフィクションを交えながら紹介していきます。

 ありがちなパターンとして、毎日毎日夜遅くまで、仕事をしても、日々仕事が溜まっていくことがある。自分は仕事が遅いと豪語する強者もいるが、決して褒められたことではない。一度、何故仕事が溜まってしまうのか、冷静になって、考えるべきである。与えられた仕事の法律問題が分からず、その調査に時間がかかるのか、或いは、依頼者から事情を聞き出す時間がかかるのか、文章を書くのに時間がかかるのか、それとも、それらの複合形態か、など、原因は様々である。そして、いまひとつは、今できる仕事をまずこなすということもある。たとえば、図書館が閉館している時間に法律問題の調査はできない。とすれば、必然的に、今できる他のことを行うべきである。
    このエントリーをはてなブックマークに追加


 学生と社会人との違いは、敢えて説明するまでもないが、弁護士に対して、この台詞が出るときは要注意である。社会常識を問われているときと、学説を振り回して実務とかけ離れているときと、の二つの場合があるからである。特に後者の場合、法律実務をきちんと理解しないと、いつまでもいつまでも、同じ台詞を言われることとなる。というより、まともに仕事ができるのか、かなり心配である。
    このエントリーをはてなブックマークに追加

 数ヶ月後、今度は、B氏がC氏を紹介してきた。ボスは、B氏ではないので、C氏の事件をS弁護士一人でやらせた。最終的に、有利な和解で解決したところ、B氏と同じように、C氏は、単独でボスと面談した。C氏が帰った後、ボスが、S弁護士を呼んで、「B氏と同じようなことをC氏も言って、報酬を減額された。」という話をした。「B氏に吹き込まれたのかもしれないけど、イソ弁だけに仕事をさせたと文句まで言われてしまったよ。」と半分怒っていた。
 S弁護士は、B氏にしろ、C氏にしろ、真面目に仕事をしても、報われないと思い、人間不信に陥ってしまった。他の人は違うと思いながら、この人ももしかしたら、という気持ちが拭えず、面談をしていても、不信感を露わにして話すようになってしまった。ボスからは、「もう少し、普通に話をしなさい。それでは、取調べだよ。」と言われても、直りそうもなかった。 (完)
    このエントリーをはてなブックマークに追加

 S弁護士が、いつものように明るく挨拶すると、B氏は、「先日はありがとうございました。ちょっと急いでいるので、これで・・。」と、よそよそしく帰って行った。
 S弁護士は、その態度に不自然なものを感じたものの、この時も、あまり気にしなかった。
 その後、S弁護士は、ボスに呼ばれた。
 ボスから、「先日、B氏にこの前の訴訟の報酬を請求したのだが、今日は、その減額をして欲しいという話だったんだ。」と言われた。S弁護士は、それを聞いて「あぁ、そうだったのか。だから、私抜きでボスと2人で話がしたかったのかな。」と思った。
 しかし、ボスが続けて「その減額の理由というのは、君の仕事ぶりにずっと不満があり、そんな金額は支払えないと言うんだ。」と言ったので、S弁護士は驚愕した。
 ボスの話では、B氏は、S弁護士の本件の理解が足りずに、打ち合わせ等でも非常に苦労した、裁判の期日でも、S弁護士はミスが多く、裁判官に悪い印象を与え、相手方に利する結果となった、その結果、不利な和解を押し付けられることになった、というような、S弁護士からすれば、全く荒唐無稽な話をボスにしたようだった。
 憤然として、反論しようとするS弁護士をボスは制して、「本件に関しては、君からずっと報告は受けていたし、客観的に不利な和解をしたとも思えないから、私は、B氏の言うことを信用してはいない。B氏は、お金にシビアな人で、以前の依頼の時も、かなりささいなことでねぎられたので、今回もある程度それを見込んで高めに報酬を請求しておいたのだが、まさかこんなことまでしてくる人とは思っていなかった。ただ、B氏は君も知っているとおり、うちの重要な顧問先の紹介であり、あまりむげな扱いもできないので、この件は私に任せてくれないか。このことを君に伝えるかどうか迷ったのだが、こんなことがあるようでは、もし、B氏からまた何か依頼があったとしても私が直接せざるを得ず、その時にいきなり君を外すのも変だから、今、言っておくことにした。君には申し訳ないが、もし、B氏にここでまた会ったりしても、このことは知らない振りをして欲しい。」と言った。
 S弁護士は、釈然とはしないものの、その場は引き下がった。(続)
    このエントリーをはてなブックマークに追加

 S弁護士は、登録3年目で、ボスと2人の事務所のイソ弁としてがんばっていた。
 S弁護士は、事務所の事件として、B氏の不動産関係の訴訟を行うことになった。B氏は、ボスの顧問先の紹介で、昔に、一回依頼を受けたことがあった。
 S弁護士は、ある程度の事件なら任されるようになっており、この事件もボスは、最初の方の打ち合わせに参加しただけで、その後は、ほとんどS弁護士のみで打ち合わせを行い、訴訟の期日もS弁護士のみが行った。
 訴訟自体は、簡単な事件とは言わないものの、比較的有利に進み、最終的には、1年半ほどで、B氏がある程度の損害賠償金を支払うものの、B氏に有利な形で和解となった。
 S弁護士は、B氏に非常に感謝され、大変良い気分になっていた。ところが、B氏が事務所に来るとの連絡があり、当初はS弁護士もその場に参加するつもりだったが、直前になって、S弁護士に外してくれるように、ボスから話があった。ボスに、「よくわからないんだけど、B氏が、2人だけで話したいということなんだよね。」と言われた。
 S弁護士も最初少し変に思ったものの、何かボスと折りいった話があるのであろうと、その時はあまり気にしなかった。
 S弁護士は、打ち合わせに参加するつもりだったので、特に他に用事もなく、自分の席で他の仕事をして、休憩しに事務所の外に出ようとした時に、ちょうど打ち合わせが終わったらしいB氏が帰るところに出くわした。(続)
    このエントリーをはてなブックマークに追加

 その内、息子は、面倒くさくなると、自分の担当事件をT弁護士に押しつけるようになってきた。ただでさえ、忙しい上に、息子の面倒まで見なくてはいけなくなり、あまりに大変なので、そのことを、ボスに言うと、「息子は成り立てでよく分からないことがあるので、面倒を見てくれ。」と頼まれてしまい、却って、仕事が増えることとなってしまった。
 ある日、息子の担当する大事な顧客の事件で、重大なミスがあり、それが原因で、敗訴判決となった。息子は、自分の責任であるにもかかわらず、全面的にT弁護士が悪いと言い訳をし、ボスも一緒になって、T弁護士を責めた。T弁護士としては、全く関与していない事件で、怒られたために、「私は担当ではありません。」と反論すると、「面倒を見てくれと言っただろう。」とボスに烈火の如く怒られた。しかも、依頼者に対して、T弁護士が全面的に悪いなどと言い訳しているのを聞き、T弁護士としては、立つ瀬がなくなった。その上、ボスは、顧客対策として、T弁護士に対し、事務所を辞めて欲しい、とまで言い出した。ボスから、「無能な弁護士を置いておくと依頼者が納得しないから。」とまで言われ、流石に、T弁護士はかちんときて、薄ら笑いを浮かべて横で聞いていた息子を、殴ってしまった。ボスは、このことを警察沙汰にし、T弁護士は、暴力弁護士とのレッテルを貼られて、放逐された。 (完)
    このエントリーをはてなブックマークに追加

 T弁護士は、登録2年目で、一番上のボスの他、パートナー2人、イソ弁2人の全部で5人の一般民事の事務所のイソ弁であった。最初の1年は、それなりに過ぎたが、2年目になる時に先輩のイソ弁(兄弁)が独立するのと入れ替わるようにして、ボスの息子が新人弁護士として入ってきた。
 T弁護士は、最近は就職状況が厳しいので、他に行くところが見つからず、父親の事務所に入ること自体は、仕方ないのかなと思っていたが、ボスが、自分の時とは違い、明らかに自分の跡取りが入ってきたので、自分が引退してからも、息子をよろしく的な挨拶状を出した。
 そこまでは、まぁ、親バカでしょうがないなぁで済むのかなと思っていたが、その後、明らかに仕事について、えこひいき的な扱いが目立つようになった。
 たとえば、新規の依頼の打ち合わせについて、小さい事件については、息子に予定を聞いて、もし息子が「今、忙しいんだけど。」と答えると、息子ではなく、自分を打ち合わせに入れ、息子には担当させなかった。
 T弁護士は、イソ弁として、「忙しいので入れません。」などとは当然言えないので、結局、自分が担当となってしまうことが多くなった。
 その一方で、ボスは、大きな事件または大事な顧客の事件については、息子の予定を最大限考慮して、息子を打ち合わせに入れた。
 その結果、明らかにT弁護士に細かい事件が増え、かつ、ボスの息子よりかなり忙しい状態になっていった。 他のパートナーも、ボスの息子ということで、彼に問題的な行動があっても、あまり強いことは言えないようで、事務員も、T弁護士が依頼した仕事が上がってこないので、どうなっているのか確認すると、「息子さんから、この仕事を急いでやってくれと言われているので・・・すみません。」と申し訳なさそうに言われる始末であった。
 本人もお坊ちゃん育ちだからか、自分が特別待遇を受けていることに気づかないか、気づいていても当然と思っているのか、全く意に介さない態度であった。(続)
    このエントリーをはてなブックマークに追加

下記リンク先の皆様、暖かいご声援ありがとうございます。
また、その他の読者の方々も、いつもありがとうございます。
本サイトですが、弁護士になりたての先生や、弁護士になろうかなと考えている方の参考になればと思っておりましたが、中堅・ベテランの先生方や一般の方にも楽しんで頂いているようでありがたい限りです。

今後とも引き続きお引き立て頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

https://twitter.com/shura_law/status/403529820291612672
https://twitter.com/o2441/status/403525845517869056
https://twitter.com/Justice_Ni_chaN/status/399197730838290432
https://twitter.com/moshimo_sic/status/398833379585449984
https://twitter.com/1961kumachin/status/393641948998688768
https://twitter.com/yosidatetuya/status/393368396852523009
https://twitter.com/kyuhisosyo65jim/status/393042516104069120
https://twitter.com/Utastm/status/392684655763136512
http://ameblo.jp/kantokozo/entry-11710130994.html
http://netnavi.appcard.jp/e/w2jo
http://b.hatena.ne.jp/entry/lawyerslives.ldblog.jp/
    このエントリーをはてなブックマークに追加

このページのトップヘ