壊れてしまった弁護士たち

若手弁護士に実際に起きた出来事を、個人を特定できないように相応のフィクションを交えながら紹介していきます。

 24の人格は必要ないかもしれないが、弁護士は、同時にいくつかの立場を持つ必要がある。まずは、依頼者の立場であるが、当然、相手方の立場でも物を考える必要がある。さらに、裁判所の立場というよりは裁判官の考えも理解する必要がある。依頼者のことだけを考えれば良いというわけではない。別の視点から検討することにより、依頼者の言い分の弱点が見えたりもするのである。また、同種の事件で、原告だったり、被告だったりもする。攻守所を変えるのであるから、当然違う立場となる。その都度、自分の中で切り替えることになるが、うまく出来ないと、本当の多重人格者になってしまうかもしれない。
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 弁護士は頭脳労働者と思われているが、実は、最近、人気がないといわれる3Kかもしれない。「きつい、汚い、危険」の三拍子がそろっているのである。元々、人間のトラブルを扱う仕事であるから、当然かもしれない。楽で綺麗で安全と思っていたら、大間違いである。命をかけて仕事をしているとはいわないが、必要に迫られて徹夜続きとなったり、現場確認で泥まみれになったり、ちょっとした油断が危険を呼ぶこともあるのである。デスクワークだけで、法廷で格好良く弁論をする職業という認識は、大いなる誤解である。勿論例外もあるが、成り立ての頃は特に3Kの度合いが激しい。
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 びっくりして、警察に行くと、とりあえず、参考人として、事情を聞きたいとのことであった。
 W弁護士は、警察の質問を聞いているうちに、依頼者と相手方とが、出資法違反の共犯ではないか、と疑っていることが見えてきた。これは困ったなと思ったが、何も知らないふりを通した。数日後、依頼者が逮捕されてしまった。すると、また、警察から連絡があって、事情を聞きたいとのことであった。警察に行くと、黙秘権の告知をされた。W弁護士が、「私は被疑者ですか。」と聞くと、「あなたの依頼者が3000万円をあなたが持っていると言っているんだよ。」と言い出した。「私は、お金をボス弁に渡しました。」と言うと、「ボス弁も知らないと言っているんだ。」と言われてしまった。W弁護士は、まさか、ボス弁がそんなことを言うはずはないと思って、「私は持っていない」と繰り返し弁明した。
 その日は、家に帰ることができたが、翌日、家を警察に捜索されることとなり、色々なものを押収された。ボス弁に警察のことを報告すると、「私は何も聞かれていないよ。警察のハッタリだろう。」と笑って答えた。W弁護士の取り調べは数回に及び、W弁護士はほとほと疲れてしまった。結局、相手方と依頼者との共犯関係の立証が困難ということで、相手方のみ起訴されて、依頼者は釈放された。その関係で、W弁護士も解放された。翌日、依頼者が事務所に来た。W弁護士は、依頼者に対し、半分怒りながら、「何故、お金を貰っていないと言ったんですか。」と問い詰めた。依頼者は、この人何を言っているんだろうと訝しげな目でW弁護士を見た。ボス弁が、「まあまあ」と言いながら、机の後ろの金庫から、3000万円を出して、依頼者に渡した。それを見て、W弁護士は、何も言えなくなってしまった。何故、どうして、という疑問が次から次へと溢れ出てきたが、多分、何を聞いても、ボス弁は答えてくれないだろうと思い、報酬を手にしているボス弁を横目で見ながら、部屋を出た。(完)
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デザインが暗いために、折角読んで頂いた方の気が滅入るかと思い、デザインを変更してみました。いかがでしょうか。

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 そこで、W弁護士は、相手方の家に乗り込み、交渉に臨んだ。
W弁護士は、開口一番、「あなたがしたことは詐欺罪だ。今から警察に行っても良いが、今返してくれるなら、不問に付すよ。」と凄みのある声で諭してみた。相手方は困ったような顔をして黙っていたが、続けて、「あなたはお金を持っているでしょう。持っていなければおかしいよね。通帳を見せてごらん。」と迫った。相手方は四の五の言っていたが、結局、通帳を見せた。すると、何十本もの振り込みがあって、総額5000万円以上の預金があった。「ほら、ここから返せば良いんだよ。今から、一緒に行ってお金を下ろしましょう。」と言った。W弁護士は、相手方を銀行に連れて行き、3000万円を下ろさせた。W弁護士は、W弁護士名義の領収書を相手方に渡し、現金を持って事務所に戻った。
 W弁護士は、ボス弁のアドバイスが適格で、素早い解決に感心してしまった。数週間後、相手方が警察に逮捕された。容疑は、出資法違反であった。報道によると、相手方は、多数の人間から金を集めていたことが分かった。びっくりして、ボス弁にそのことを報告すると、「通帳を見たのは、君だろ。僕は知らないよ。」と言った。数日後、W弁護士に警察から連絡が入った。3000万円の領収書のことを聞きたいとのことであった。(続)
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 結局、依頼者は、コの字型のビルの建築確認を取って、工事を始めることとなった。
ある日、工事用の資材を積んだトラックがその木造の家に突っ込み、家は大破してしまった。ボス弁は、依頼を受けて、土地所有者と家の大破の示談交渉をし、ついでに、土地の売買の話を向けた。すると、土地所有者は、連日大型トラックが走って、生活環境がかなり悪化していたこともあって、相応の値段で、売却することとなった。後日、依頼者が事務所を訪問してきて、「先生のアドバイスが良かったですよ。」と報告してきた。ボス弁は、「私は、家を壊せなんて言っていないよ。まさか、わざと突っ込ませたの」と苦笑いすると、「いえいえ、まさか。」と依頼者は大笑いした。W弁護士は、何か暗い影のようなものを感じた。依頼者は、建築確認を取り直して、ビルを建てるとのことであった。
 また、あるとき、お金を騙し取られたという相談があった。その依頼者は、ある物件の買い付けで3000万円を預けていたところ、実はその物件は売りには出ていないため、そもそも買えないことが分かったとのことであった。お金を返せと言っても、相手方は交渉中と言って返さないとのことであった。W弁護士は、民事裁判を起こすのかなと思っていたら、ボス弁は、相手方とまず交渉だということで、相手方を訪問することとなった。ボス弁から、「詐欺だと言えば払うから、あと通帳を見せて貰いな、お金があったらすぐに取るんだよ。」とアドバイスを受けた。(続)
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 思いつくままに、検索と絞りを繰り返したが、なかなか、数は減らなかった。他の事務所のホームページを覗いてみたが、そのまま使える内容のものはなかった。
 ボス弁からは、「早くしてよ。」と言われ、「全部がうまく整理できないのです。」と言い訳をすると、「代表的なものでいいんだよ。」と言われた。ここで、また、代表的なものとは何かが分からなかった。Z弁護士としては、千差万別とも言える離婚事件に代表的なものがあるとは到底思えなかったのである。そこで、同期の弁護士に相談をしてみると、「不貞でいいんじゃないの。」と軽く返されてしまった。そこで、不貞で絞りをかけて、それでも、相当数ある判例を、テキストデータに落とし、結論と判旨とをまとめたデータベースを作り上げた。漸く仕上がった資料をボス弁に見せると、「こんな大量なものを2時間の講演で話せるわけないでしょう。しかも、不貞しかないし。他のは。」と怒られてしまった。Z弁護士としては、ますます何を作って良いか、が分からなくなってしまったので、「何を作れば良いのでしょうか。」と聞いてみた。「そんなことは常識でしょう。どの事件だといくらぐらいが相場みたいなものでしょう。」とかなりきつく言われてしまった。そこで、金額で絞りをかけて、いくつかの山を作ってみたが、金額と離婚事件の内容とが、うまくつながらず、相場がいくらかが出せなかった。いくつかの共通語を探しているうちに、何となく傾向らしいものが出てきたので、それをレポートにしたところ、「こんな特殊な分類は誰が考えたの?」と怒鳴られてしまった。「自分です。」と言うと、「あの小冊子を前提にしてよ。君の極端少数説では、私が笑いものだよ。」と突き返されてしまった。講演の日がかなり迫っており、ボス弁も相当イライラしていた。
 結局、元に戻って、小冊子を基準とした山に従って、大体の傾向をまとめ、ボス弁に見せた。「この数字は、私の感覚とずれているな。元の資料はある。」と言われ、膨大な判例のコピーの山を自席から運んでくると、「代表的なものを取り出して。」と怒られた。「どれが代表的か分からないのですが。」と、Z弁護士は小さな声で答えた。ボス弁は、一瞬、目が点になり、「君、弁護士だよね。」と言った。Z弁護士は、「はい。」と言えなかった。 (完)
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 過去の記事が読みにくいようでしたので、右サイドに表示されているブログパーツに目次を作成し、目次をクリックした際に、分割表示される本文について、古い順に表示されるようにしました。これで、過去の記事について読みやすくなったのではないかと思います。
 引き続きよろしくお願い致します。
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