乙弁護士が、裁判を起こした報告と訴状を、Aに送ったところ、早速連絡があり、「何故、訴状に、きちんと内容を書かないのか。」という文句が入った。次に、乙弁護士は、準備書面で提出すれば良いと弁解をしたが、「すぐ出せ。」「すぐ出せ。」と強弁し、乙弁護士は、追加の書類を出すこととなった。陳述書があったので、当事者を、原告と被告とに変換して、ですます調をである調に直す作業であったが、相当時間がかかった。何とか翌日までに仕上げた。乙弁護士は後で文句を言われるのが嫌なので、できた段階で、Aに内容の確認を求めた。Aはまたすぐ連絡をしてきて、「こんなにすぐできるのであれば、最初からそうすれば良いではないか、先生は手抜きをした。」と文句を言われたが、内容は了承してくれた。
 第1回口頭弁論期日に、Bから、詳細な反論がなされ、すべて事実無根であるとして、個々の事実について、反証が提出された。裁判長から、「原告も陳述書以外の証拠を提出してください。」と釈明され、次回期日までに準備することとなった。直ちに、Aに連絡を取り、被告提出の答弁書と証拠を検討することとなった。さらに、次回期日までの間に、被告から不当訴訟を理由として、反訴が提起された。数日後、Aから段ボールが1箱届いた。中身は、ただただ、Bが嘘つきであると書いた陳述書のようなものであった。乙弁護士が連絡を取ると、その陳述書がすべてであるということで、直ちに提出してほしいとのことであった。いつもより、トーンダウンしている言い方が気にはなったが、また、何か言われると嫌なので、そのまま提出した。他に証拠はないのかと確認すると、ないと言われた。
 第2回口頭弁論期日で、裁判長から、「他に証拠はないですか。」と確認され、乙弁護士は、「ありません。」と答えてしまった。すると、裁判長から、「原告において、訴訟を維持されるのかを次回まで検討してきてください。」と言われてしまった。乙弁護士は、裁判長の言葉から、敗色濃厚なことを感じ取り、Aを呼び出して、打ち合わせをすることにした。Aに連絡を取ると、「忙しいから。」と言って、次回期日までに打ち合わせをすることができなかった。やむを得ず、打ち合わせができない事を理由に、別の期日を入れてもらったが、その日までも、打ち合わせをキャンセルされ、打ち合わせができなかった。(続)