結局、依頼者は、コの字型のビルの建築確認を取って、工事を始めることとなった。
ある日、工事用の資材を積んだトラックがその木造の家に突っ込み、家は大破してしまった。ボス弁は、依頼を受けて、土地所有者と家の大破の示談交渉をし、ついでに、土地の売買の話を向けた。すると、土地所有者は、連日大型トラックが走って、生活環境がかなり悪化していたこともあって、相応の値段で、売却することとなった。後日、依頼者が事務所を訪問してきて、「先生のアドバイスが良かったですよ。」と報告してきた。ボス弁は、「私は、家を壊せなんて言っていないよ。まさか、わざと突っ込ませたの」と苦笑いすると、「いえいえ、まさか。」と依頼者は大笑いした。W弁護士は、何か暗い影のようなものを感じた。依頼者は、建築確認を取り直して、ビルを建てるとのことであった。
 また、あるとき、お金を騙し取られたという相談があった。その依頼者は、ある物件の買い付けで3000万円を預けていたところ、実はその物件は売りには出ていないため、そもそも買えないことが分かったとのことであった。お金を返せと言っても、相手方は交渉中と言って返さないとのことであった。W弁護士は、民事裁判を起こすのかなと思っていたら、ボス弁は、相手方とまず交渉だということで、相手方を訪問することとなった。ボス弁から、「詐欺だと言えば払うから、あと通帳を見せて貰いな、お金があったらすぐに取るんだよ。」とアドバイスを受けた。(続)