R弁護士は、イソ弁として、3年目の時に、個人事件として、離婚事件を受任した。
 R弁護士は、奥さん側で、とりあえず調停をして欲しいということで、夫である相手方のD氏に調停を起こした。離婚理由は、D氏がすぐ感情的になるということだけあったが、かなりひどい状態らしかった。
 D氏は、調停の席上、かなり感情的に話をするだけではなく、調停の期日が終わると、D氏は事務所に電話をかけて来て、その調停の話の内容について文句をつけてきた。
 ある時、またD氏から、電話があり対応していると、何か気に障ったのか、いつにも増してD氏は感情的になり、「所長を出せ所長を。」と言い始めた、
 R弁護士は、「これは、私が個人として受任している事件なので、所長は関係ない。」と説明をしたが、相手は、「そんな馬鹿な話があるか。大病院とかで、担当の医者に問題があれば、院長とかが責任を持つのは当然だ。屁理屈を言うな。」と更に怒り始めた。D氏は、自分が医者であることから、その感覚で話をしているようだった。
 R弁護士は、ボスに代わるわけにもいかず、ひたすらそれはできない旨を説明したところ、D氏は「話にならん。」と言って、電話をガチャンと切った。
 その時は、それで終わったと思っていたが、数日後、R弁護士は、ボスに呼ばれた。
 ボスによると、R弁護士が留守の時に、D氏から電話があり、R弁護士がいないと聞くと所長に繋いでくれと言われ、事情をよく知らない事務員さんがボスに繫いでしまったということであった。(続)