Z弁護士は、ネット世代の申し子とも言うべき人間で、色々な問題をネット検索しては、資料にまとめる能力に長けていた。入所した事務所で、たまたま、市販の六法全書にも出ていないような法律が問題となり、ボス弁から調査依頼されたところ、検索能力を駆使して、国会の答弁やら法制審議会の議事録やら、手に入ると思われる資料をすべて探しだし、レポートを提出した。それを見たボス弁は、「君はすごい才能があるね。」と絶賛してくれた。Z弁護士は、「いや、コンピューターさえあれば、何とかなりますよ。」と軽く謙遜した。その後も、何かにつけて、調査の仕事を頼まれ、通常、目に触れない資料を探し出して、報告していた。
ある日、ボス弁から、離婚事件の慰謝料の額を調べて欲しいと言われた。Z弁護士は、簡単な仕事だな、と思って、判例データベースにアクセスして、離婚・慰謝料と入力したところ、膨大な数の判例が表示された。実は、Z弁護士は、司法試験に親族法があまり出ないことから、試験勉強では殆どやっていなかった。この時、勉強しておけば良かったと、一瞬後悔したが、何とかなるだろうと、思った。しかし、この数の判例をすべて読むことはできないと判断して、何かの言葉で絞りをかけようとしたが、ボス弁からは、事件の内容を聞いていなかった。(続)
ある日、ボス弁から、離婚事件の慰謝料の額を調べて欲しいと言われた。Z弁護士は、簡単な仕事だな、と思って、判例データベースにアクセスして、離婚・慰謝料と入力したところ、膨大な数の判例が表示された。実は、Z弁護士は、司法試験に親族法があまり出ないことから、試験勉強では殆どやっていなかった。この時、勉強しておけば良かったと、一瞬後悔したが、何とかなるだろうと、思った。しかし、この数の判例をすべて読むことはできないと判断して、何かの言葉で絞りをかけようとしたが、ボス弁からは、事件の内容を聞いていなかった。(続)